辞典
AI・開発用語辞典
辞書的な定義は他にいくらでもあるので、ここでは実務でどういう含みで使われるかとどこを取りこぼしやすいかを書いています。橙色の注記が取りこぼしやすい点です。
86語収録 / 最終更新 2026年8月13日 / 随時追加しています
LLM大規模言語モデル
大量の文章から言葉の並び方を学んだAI。ChatGPTやClaudeの中身にあたるもの。
生成AI
文章・画像・音声・動画などを新しく作り出すAIの総称。分類や予測をするAIとは別。既存の機械学習と混ぜて議論すると話が噛み合わなくなる。
学習training
モデルそのものを作る工程。兆円規模の計算資源が必要で、担い手は世界で数社。自社の費用には出てこない。「AIは高い」がこの話なら自社には無関係。
推論inference
できたモデルを実際に使う工程。利用のたびに課金される。自社のAI原価はここ。粗利の議論はこの単価で決まる。
トークン
文章を細かく刻んだ処理単位で、課金単位でもある。日本語は1文字あたり1〜1.5トークン程度。
コンテキストウィンドウ
AIが一度に見ていられる量の上限。会話が長いと古い部分の解像度が落ちる。1チャット1目的が原則。
コンテキスト・エンジニアリング
AIの視界に必要な情報だけを必要なタイミングで置く技術。プロンプト術の次の段階。2026年の「使いこなし」の実質的な中身。
プロンプト・エンジニアリング
AIへの聞き方を工夫すること。2023〜24年の主戦場で、今はここだけでは差がつかない。
エンバイロメント・エンジニアリング
AIにどこまで見せ、何を許すかを設計すること。権限とガードレールの設計。今の主戦場。
エージェント/エージェンティック
目的を渡すと自分で情報を取り、手順を決め、完遂するAI。チャットボットの延長ではない。本質は権限と実行。
エージェンティックループ
考える→動く→結果を見る→判断する、の繰り返し。AIエージェントの動作原理はこれだけ。「結果を見る」が切れているとAIは思い込みで進む。
サブエージェント
AIが起動する部下。記憶が分かれるので、大量調査と並列作業、そして第三者レビューに使える。
RAG検索拡張生成
社内文書を検索してその都度AIに渡す方式。モデルを賢くするのではなく、渡す情報を賢くする手法。
ファインチューニング
モデル自体を追加学習で自社に寄せること。2026年時点では、まずRAGとコンテキスト設計で足りる場面が多い。
蒸留distillation
大きなモデルの振る舞いを小さいモデルに移す手法。劣化版を作る話ではなくコスト戦略。法務論点にもなる。
スケーリング則
計算量・データ・規模を増やすと性能が上がる経験則。保証ではない。近年は「推論時に多く考えさせる」方向へ軸足が移っている。
マルチモーダル
文字だけでなく画像・音声・動画も扱えること。便利機能ではなく、IPやエンタメの事業機会という文脈で語られる。
GPU/コンピュート
AIの燃料である計算資源。兆円の話は基盤モデル層。アプリ層の必要投資とは桁が違う。
基盤モデルファウンデーションモデル
汎用の土台となるモデルとその提供企業。提携相手であり同時に最大の競合、という二面性がある。
オープンウェイト/クローズド
重みが公開され自社環境で動かせる/API経由のみ。「オープンソース」とは別概念。学習データは非公開が普通。
オンプレ/クラウド/エッジ
自社設備/他社基盤/端末側で処理。エッジは遅延と安全性の話。クラウド前提の議論と混ぜない。
フィジカルAI
物理法則を理解して自動運転やロボットを動かすAI。ロボットの話ではなく、産業構造が情報系AIと違うという主張。
AGI/ASI
汎用人工知能/それを超える知能。「来るか」ではなく「社会の準備が間に合うか」の文脈で語られることが多い。
ベンチマーク/eval
共通試験での比較/自社業務での評価基盤。ベンチマーク1位は自社で使えることを意味しない。evalの有無が本番化を分ける。
ハルシネーション
もっともらしい嘘を出力すること。「減らす」より「検証手段を渡す」が実務解。計算はコードで検算させる。
ガードレール
AIに許す行動と出力の範囲の設計。倫理の話ではなく実装課題。権限設計とほぼ同義。
アラインメント
AIの目的を人の意図に沿わせること。研究の話と製品の話が混在しやすい語。
プロンプトインジェクション
外部データにAIへの指示を埋め込んで乗っ取る攻撃。「外部入力」「秘密の鍵」「書き込み権限」を同じ処理に同居させないのが原則。
ヒューマン・イン・ザ・ループ
重要な操作は人が承認する設計。思想ではなく権限設計。どこに承認を置くかの実装判断。
オブザーバビリティ/監査ログ
AIが何を見て何をしたかを追える状態。ガバナンスは規程ではなく記録で担保する。
サンドボックス
意味が2つある。①技術:本番から切り離した隔離環境。②制度:産業競争力強化法の新技術等実証制度。同じ単語で意味が180度違う。「規制の」が付けば必ず制度の意味。
IP補償
生成物が権利侵害と判断された場合に提供元が補償する仕組み。タレント・IP事業では、ツール選定の最優先基準になる。
MCP/コネクタ
AIと外部サービスをつなぐ共通規格。USB Type-Cのようなもの。地味だがエージェント実用化の前提。増やしすぎると判断が鈍る。
Skill/SKILL.md
特定の仕事の手順書をフォルダにしてAIに持たせる仕組み。必要なときだけ読み込まれるので、何個増えても重くならない。
CLAUDE.md
AIに常に効かせる短いルールを書くファイル。長くすると全体が重くなる。手順はSkill側に置く。
AGENTS.md
Codexなどが読むルールファイル。これを正本にし、CLAUDE.mdから読み込む形が推奨。二重管理は必ずズレる。
フック
特定のタイミングで100%実行される自動処理。指示は守られないことがあるが、フックは守らせられる。事故防止はこちらへ。
プラグイン
Skill・フック・コネクタ設定をまとめた配布パッケージ。社内展開に使える。
段階的開示
起動時は名前と説明だけ読み、該当したときに中身を読む仕組み。Skillが軽い理由。
スケジュールタスク
毎朝・毎週など決まった時間に自動でAIを走らせる仕組み。出力先をSlackなど人が通る場所にしないと、実行されても誰も読まない。
Routines
Claude Codeのクラウド定期実行機能。公式に「ノートPCを閉じていても動く」と記載。最短1時間間隔。
アーティファクト
開くたびに最新データを取り直す保存済みのHTMLページ。毎回作り直すのをやめられる。
Git
ファイルの変更履歴をすべて保存する仕組み。戻すのが例外処理ではなく通常操作。だからAIに大胆に触らせられる。
GitHub
Gitのデータを共有するサービス。価値は保管ではなく「あらゆる自動化の接続点」であること。
リポジトリ
1プロジェクト分の保管庫。案件フォルダにあたる。
コミット
変更をひと区切りとして履歴に刻むこと。「ここまでの版を保存」。
プッシュ/プル
手元の変更をGitHubに送る/GitHubの最新を手元に取る。
ブランチ
本線を壊さない作業用の枝。AIを複数同時に走らせるにはこれが前提になる。
プルリクエスト(PR)
「この変更を本線に入れていいか」の申請。稟議書にあたる。非エンジニアが覚えるべきはこれとマージの2つだけ。
マージ
枝を本線に合流させること。承認して反映。
GitHub Actions
「pushされたら◯◯する」「毎朝9時に◯◯する」を設定する仕組み。無料枠は月2,000分。
git worktree
同じリポジトリの作業フォルダを物理的に分ける仕組み。2つのAIに同じフォルダを触らせると、エラーなしで片方の作業が消える。
デプロイ
作ったものをサーバーに置いて外から見える状態にすること。配膳にあたる。
ビルド
書いたコードをブラウザが読める形に変換する作業。下ごしらえにあたる。
ローカル/本番
自分のPCの中/お客さんや社員が実際に見ている環境。
プレビュー環境
PRごとに自動発行される確認用URL。本番を触らずに関係者に見せられる。社内確認の速度がここで変わる。
ロールバック
壊れたので前の版に戻すこと。ワンクリックでできるホスティングもある。
Vercel
pushしたら自動でサイトを公開してくれるサービス。無料プランは公式に「個人の非商用向け」。会社利用は有料が前提。
Cloudflare Pages / Workers
Vercelの同類。静的サイトへのアクセスは無料・無制限で帯域課金もない。小規模なら最も安い。
Netlify
Vercelの同類。無料枠はクレジット制で、使い切ると全サイトが停止する。
Supabase
アプリの裏側で使うデータベース+ログイン機能。無料枠は7日間アクセスがないと自動停止する。業務利用は有料前提。
API
ソフト同士が会話するための窓口。画面操作せずにデータを直接やり取りする。
ブラウザ操作(RPA)
人の代わりに画面をクリックする方式。最後の手段。画面が変わると止まり、しかも静かに止まる。
共用レンタルサーバー
1台を複数契約者で共有する安価なサーバー。PHPサイト向け。Node.jsが動かず常駐プロセスも立てられないことが多い。モダンなWebアプリの実行先には向かない。
VPS
root権限つきの自分専用サーバー。何でも動くが、管理を自分で背負うことになる。
セルフホストランナー
GitHubの自動処理を自社のマシンで実行する設定。公式に「非公開リポジトリのみ推奨」。公開リポジトリで使うと外部のコードが自社マシンで動く危険がある。
Claude Code
ターミナルで動くClaude。コードベース全体を扱う開発に強い。サブスクの枠は他のClaude製品と共通なので、併用しても課金は増えない。
Codex
OpenAIのコーディングエージェント。長時間の自律作業に強い。CLI・エディタ・クラウドで使用量の枠は共通。別課金ではない。
バイブコーディング
自然言語で雰囲気を伝えてAIにコードを書かせる開発スタイル。試作は爆速。本番に載せるものは検証工程が必須。個人情報や金銭が絡むものは避ける。
エージェンティック・エンジニアリング
バイブコーディングに検証・テスト・設計を組み込んだ発展形。2026年の主流。
AXAIトランスフォーメーション
AI前提に業務と組織を組み替える変革。DXは既存業務のデジタル化。AXはフローそのものを作り直す。
ベロシティ
気づいた瞬間に直して回す速度。開発が速いという話ではなく、学習ループの回転数。
PoC死/本番化
実証で止まる現象/運用・監視・責任分界まで作り切ること。「AI導入しました」の大半はまだPoC段階。
内製化
外注せず自社で作れる状態。全部作る話ではない。「直せる状態を持つ」ことが本質。
人材シフト
生産性向上で浮いた人員を新事業に移すこと。ここが詰まるのが最大のボトルネック。技術ではなく経営の問題。
バーティカルAIエージェント
業界・業務に特化したエージェント。汎用モデルに飲まれない条件が領域の深さであるという主張とセットで語られる。
ディストリビューション/GTM
販売チャネル・到達手段。プロダクト差別化が難化した分、勝敗がここに移ったという論点。
A2Aエージェントtoエージェント
売り手も買い手もAIになる前提。検索・UI・広告の前提が崩れる。SEOの意味そのものが変わる。
ユニットエコノミクス
1件処理あたりの粗利。推論コストが原価に直入りするので、AI事業の成否はここで決まる。
コングロマリット・ディスカウント
多事業を抱えると企業価値が割り引かれる現象。
AIO/GEO
AIが答えを生成するときに引用されやすくする最適化。従来のSEOと違い「順位」ではなく「引用されるか」を競う。構造化データと明確な問答形式が効く。
学習利用のオプトアウト
入力したデータをAIの学習に使わせない設定。法人向けプランでは標準になっていることが多い。個人プランのまま社内展開すると、ここが抜ける。
モデルの使い分け
賢さ・速さ・費用が違う複数のモデルがある。仕分けや定型変換に最上位モデルを使うのは、軽トラで済む荷物にトラックを呼ぶのと同じ。
完了条件
「何がどうなったら終わりか」をAIに先に伝えること。AIの最大の失敗は「間違った前提で全力で走ること」。これを防ぐ最短手段。
検証手段を渡す
実行させる、検算させる、スクショを見せる、別のAIにレビューさせる。これを渡すかどうかで出力の質が最も変わる。
1タスク1チャット
1つの会話に1つの目的だけ入れる運用。長い会話は必ず劣化する。目的が変わったら新しい会話にする。